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Exhibitions

screening program Vol.2

ジョナス・メカス『ロスト・ロスト・ロスト』上映会

2025.12.10 Wed. – 14 Sun.

企画・構成:一之瀬ちひろ

◾️Loop Screening|12.10 Wed. – 12 Fri., 14 Sun.
12:00–15:00 / 15:30–18:30(入場無料/予約不要/出入自由)
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◾️Screening + Dialogue|12.13 Sat.
14:00–19:00(要予約/定員10名程度/1000円[コーヒーとクッキー付])
プログラム:
13:30 開場
14:00–15:30 reel 1, 2, 3 上映
15:30–16:00 休憩
16:00–17:30 reel 4, 5, 6 上映
17:30–18:00 休憩
18:00–19:00 ダイアローグ
・進⾏役:⼀之瀬ちひろ

「アメリカ実験映画のゴッドファーザー」。そう紹介されることの多いジョナス・メカス。
メカスが実験映画、特にニューヨークの映画とアート・コミュニティに与えた貢献は、数えきれないほど多くのものでしたが、では実際、彼はなにをしたのでしょうか?

1922 年にリトアニアに⽣まれたジョナス・メカスは、第⼆次世界⼤戦中に故郷を逃れ、ドイツの強制労働所に収容されたのち、1949 年に国連難⺠機関の船に乗りブルックリンに辿り着きます。その後、ヴィレッジ・ヴォイス紙で映画コラムを連載し、弟と共同で映画雑誌『フィルム・カルチャー』を創刊し、映画制作をして過ごします。そして 40 歳になった 1962 年に、実験的な映画の配給を⾏うフィルムメーカーズ・コープを設⽴し、次のように宣⾔します。

国家的・商業的な映画制作・配給の枠ぐみから離れて、⾃分たちの⼿で⾃由に映画をつくり配給するための協同組合を⽴ち上げること。また参加する映画作家たちは、作品が商業的に成功することより、ホーム・ムービーのような親密さを⽬指すこと。

それから 10 年近く、メカスはソーホー地区の空きビルを利⽤したギャラリーやホールあるいは美術館といったところで「フィルム・メーカーズ・シネマテーク」という上映会を開催しつづけます。この時期にメカスが企画した上映会の内容は幅広く、古典的な劇映画だけではなく実験的な映画が多く含まれていました。そして、それだけではないのです。「フィルム・メーカーズ・シネマテーク」で⾏われた企画には、たとえば、⼦供でも⼤⼈でも、誰もが⾃由に⾃分のつくった映画を持ち寄って上映することができるという上映のプログラムがありました。それから、映画の上映中に観客が⾃由に出たり⼊ったりできる上映スタイルが試みられたり、さらには、映像を⽤いたサウンドパフォーマンスやダンスなども⾏われました。それに加えてメカスは、LGBTQ をテーマにした映画の上映を⾏い、スーザン・ソンタグ、アレン・ギンズバーグらとともに検閲反対運動を⾏ったりもしています。

おわかりのように、メカスの企画する映画上映プログラムは、商業的な映画配給システムに則った映画とはまったく発想の異なるものだったのです。こうした活動から察するに、メカスは映画について当時のアメリカ実験映画作家の中でも、とりわけオープンな考えを持っていた⼈物だったといえるでしょう。もしかしたら、動くイメージによる表現を、映画というよりももっと広く、つまりアートとして捉えていたのかもしれません。メカスの企画する映画上映プログラムは、ある種の芸術運動のようなものだったようにも思われるのです。

メカスは、こうした上映活動のかたわら、⾃⾝の映画制作を続けていました。彼の映画作品は、メカスが⾏った映画配給や上映会活動と、根本的なところで思想を共有しています。
メカスの作品はすべて、彼⾃⾝がそれを「ホーム・ムービー」と呼んでいるように、家族や友⼈のためにつくられた個⼈的な⽣活を記録した映画です。特別な演出や脚⾊はなく、そこに映るのは⽇常の何気ない出来事です。メカスは、作品の中でたびたび、映画がささやかなかたちで、しかし個⼈の⽣活に⽋かせないものとして存在することについて、私たちが映画を⾒るときに思いがけず与えられる祝福や喜びについて、飾らない⾔葉で思索しています。

『Lost Lost Lost』(ロスト・ロスト・ロスト)
『Lost Lost Lost』(ロスト・ロスト・ロスト)は、メカスが亡命後のアメリカで撮りためた 16 ミリフィルムをもとに構成した⾃伝的な作品です。1949 年から 63 年までの映像が 6 つのリールに分かれて収められており、それぞれ、リトアニア難⺠コミュニティでの⽣活、ニューヨークでの新しい⽇々、アート仲間たちとの出会いなどが、映されています。メカスは、⾃分の⽬で⾒た⼩さな出来事や光景をそのままフィルムに残しています。そして、映像とともに、ひとりの難⺠として⽇常を⾒つめる視点、どこにも完全には属すことができないという孤独、遠い故郷への郷愁、新しい⼟地で⾒つけたささやかな祝福の瞬間が語られます。『Lost, Lost, Lost』は、ひとつの区切られた映画というより、⼈がイメージとともの⽣きることの実践です。

⽔、⽊、⾦、⽇曜⽇の上映は、予約不要出⼊⾃由のループ上映を⾏います。
⻑時間の上映時間をもつ映像インスタレーションを残してもいるメカスは、「すべてを観なくていい、⾒たい部分だけを⾒たいときに⾒てくれればいいんだ」といいます。
のんびり⾳楽を聴くように、⾵景を眺めるように、メカスの作品を体験しにきてください。
■ループ上映
日程: 12 月 10 日[水]‒ 12 日[金]、14 日[日]
時間: 12:00‒15:00 15:30‒18:30 (1 日 2 回上映)
(入場無料・予約不要・出入自由)

そして 12/13[⼟]は、友⼈の家でホーム・ムービーを観るように、コーヒーとお菓⼦を⽚⼿に、少⼈数で作品についての感想や気づきを共有する上映+ダイアローグを⾏います。
■上映+ダイアローグ
日程: 12 月 13 日[土]
時間: 14:00-19:00
(チケット予約制・定員 10 名程度・1000 円・コーヒーとクッキー付き)

Profile
ジョナス・メカスJonas Mekas

1922 年 12 ⽉ 24 ⽇-2019 年 1 ⽉ 23 ⽇。リトアニアの農村セメニシュケイ⽣まれ。第⼆次世界⼤戦中ナチスに追われて

弟のアドルファスとともにリトアニアを出る。その後、ドイツ北部のエルムスホルンの強制労働収容所に連⾏される。

49 年、国連機関によりニューヨークに移送され、ブルックリンのウィリアムズバーグに定住。ニューヨーク到着 2 か

⽉後、最初のボレックスカメラを購⼊し、⾃分の⼈⽣の短い瞬間を記録し始める。以降、多くの映像作品を残す

  • ジョナス・メカス『ロスト・ロスト・ロスト』上映会 作品画像
  • ジョナス・メカス『ロスト・ロスト・ロスト』上映会 作品画像
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