Kanzan Curatorial Exchange 「尺度の詩学 」vol.1

土屋紳一「TIMELINE」

■展覧会データ

会場:Kanzan Gallery(東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F)

会期:2018年 9月8日(土)- 10月7日(日)

時間:12:00-19:30(日曜 -17:00)

定休:月曜 入場無料

企画:和田信太郎 施工:清水玄 広報:玉木晶子

協力:原田晋, コ本や honkbooks

 

■関連イベント

2018年9月9日(日)16:00- 桂英史(東京藝術大学大学院映像研究科教授)× 土屋紳一 進行:和田信太郎

2018年9月16日(日)16:00- 粟田大輔(美術批評) × 土屋紳一 進行:和田信太郎貴

 

■概要

平成が想定よりも早く幕を閉じることになり、元号そのものに歴史と物語を感じた。まず年表を作成し、呼応しながら作品制作をするというプロセスを今回試みた。昭和や平成に関することを調査すると、東京の地下鉄に出会った。昭和2年に開業しているだけでなく、戦後日本の構造を考える中で、地下鉄サリン事件は大きな課題として外せなかった。年表を持ちながら写真を鑑賞することで、未来を含めた時間を横断する感覚が体感できるような展示を目指した。

(アーティスト・ステートメント)

「尺度の詩学」

都市や社会を通じて問題意識を見つけ、それを作品化する表現行為が少なくないなかで、あらためて尺度(スケール)という観点から思考論理や表現手法を意識的に問い直してみる。そのことによって物事の肌理を際立たせることができるのではないだろうか。表現を投げかけるときに、意図的に尺度を割り当ててみるだけで、伝わり方も(その残余も)別様のものになり変わる。尺度の切り替えによって、現象は複雑にも単純にもなるゆえに、問題意識を見出すそのアサムプション(前提)から再考してみようと本シリーズを企画しました。

リサーチ手法として年表をつくり「平成」「地下鉄サリン事件」について写真をメディウムとして再考する土屋紳一。見ていることの事実や実在している確かさを問い直そうと独自の手法を開発する美術家の長田雛子。彫刻教育から東アジアの歴史に迫り「不在の彫刻史」を体現化しようとする彫刻家の黒田大祐。「尺度の詩学」という企画シリーズのもとで、3名の作家が個展形式によって映像メディアで用いる新作を発表します。

 

>>>「TIMELINE」インタビューtext by 嘉原妙/Tae Yoshihara

<前篇> 写真の余白、補完によって見えてくること

<後編> アーティスト、アーキビストが拓く未来をうつす装置の可能性

 

土屋紳一|Shinichi Tsuchiya

1972年、横浜市生まれ。アーティスト、アーキビスト。

東京造形大学卒業。国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒業。デュッセルドルフ・クンスト・アカデミー卒業。トーマス・ルフからマイスターシューラーを取得。写真メディアを中心に国内外で展示を行っている。水戸芸術館 クリテリオム92(2016)以来の展示であり、国内のギャラリーでは帰国後初の展示となる。

 

 桂英史|Eishi Katsura

1959年、長崎県生まれ。専門はメディア研究、芸術実践論。東京藝術大学大学院映像研究科教授。せんだいメディアテーク(仙台市)やメディアセブン(川口市)など、国内外で新しい公共文化施設のプランニングに携わる。主な著作には、『インタラクティヴ・マインド』、『図書館建築の図像学』、『東京ディズニーランドの神話学』、『人間交際術 コミュニティ・デザインのための情報学入門』、『せんだいメディアテーク コンセプトブック』(共編著)、『先端芸術宣言』(共編著)などがあり、近刊予定として『アート・プラクティス~芸術実践論の課題(仮題)』(青弓社)がある。

 

粟田大輔|Daisuke Awata

1977年生まれ。美術批評、芸術学(美術解剖学)、[comos-tv]ディレクター、基礎芸術 Contemporary Art Think-tank。論考に「書き換えられるシステム」(『ART and ARCHITECTURE REVIEW』, 2010年)、「ポスト消費社会と映像の再生産」(『Yebizoフォーラム』, 2012年)、「近代のアポリアと形見なるもの」(『物質と彫刻』[図録], 2013年)、「金縛りと夢」(『Pa+ フォビアと芸術生産』, 2015年)、「榎倉康二と書物」(『Reflection:返礼―榎倉康二へ[論考]』, 2015年)、「SPACE TOTSUKA ’70における「地・型」」(『引込線2015』, 2015年)、「顔徴」(『引込線2017』, 2017年)など。

 

和田信太郎 / Wada Shintaro (メディア・ディレクター)

1984年宮城県生まれ。表現行為としてのドキュメンテーションの在り方をめぐって、映像のみならず展覧会企画や書籍制作を手がける。最近の主な仕事として、「磯崎新 12×5=60」ドキュメント撮影(ワタリウム美術館, 2014)、「藤木淳 PrimitiveOrder」企画構成(第8回恵比寿映像祭, 2016)、展覧会シリーズ「残存のインタラクション」企画(Kanzan Gallery, 2017-18)、「ワーグナー・プロジェクト」メディア・ディレクター(神奈川芸術劇場KAAT, 2017)。2012年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。現在、東京藝術大学大学院映像研究科特任講師、株式会社thoasa(コ本や honkbooks・企画・映像制作・書籍出版)ディレクター。

 

 コ本や honkbooks

2016年より活動するメディア・プロダクション。映像や書籍の制作、展覧会やプロジェクトを企画し、自ら運営する本屋(東京都北区王子)を拠点に展開している。青柳菜摘/だつお(アーティスト、1990年生まれ)、清水玄(ブック・ディレクター、1984年生まれ)、和田信太郎(ドキュメント・ディレクター、1984年生まれ)主宰。3人ともに東京藝術大学大学院映像研究科出身。最近の活動に展覧会シリーズ「残存のインタラクション」企画(Kanzan gallery、2017)、「ワーグナー・プロジェクト」メディア・ディレクション(神奈川芸術劇場KAAT、2017)、「新しい洞窟-もうひとつの岐阜おおがきビエンナーレ2017」ディレクション(2017)など。別名thoasa。

■会場配布物

 

一般財団法人日本写真アート協会  Kanzan gallery       東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F

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